電気光球の思い出

テラスに浮かぶ電気光球
(それは月面の瞬きに類似し)
私は恐らくそれ自体が私の心だと気づく事はないのでしょう

触れたそれは温もりを忘れ
まるで暗闇の中の氷河酸素の感覚に近いのです
いったいこの世界が紛れもなく本物だと誰が解るのでしょう?
電気光球が明滅する中にさえ
私はその問いの答えに不安を抱くのです

大気溶媒の中に溶け込んだ無数の意識が見るのは
(それはモノクロームの風景画に近く)
つまり例えようのないしおれた茉莉花なのだと知りました

この電気光球の中には私がいると
確かに感じた気がしました